…は?
肩眉が、ぴくりと上がる。
トキの視線の先を追い自分の背後を振り返ると、そこにはシートは所々破れ、足は錆びのせいで茶色く染まった、ぼろぼろのパイプイス。
トキのほうに視線を戻すと、さっきよりも更に険しい顔になっていた。
首をかしげながらも、無言のまま、そこに腰掛ける。
ぎしり、という耳障りな音が、耳に届いた。
長い、沈黙。
さわさわと、風が葉を揺らす音だとか
鳥のさえずりだとか
自棄に、そういうものが響いて聞こえて。
私はただ、足元に置かれていた、色とりどりの花々が並べられたプランターを見つめていた。
ときどき、思う。
いや。かなり。
……トキの考えている事が、わからない。

