消毒液のにおいが、ふわりと鼻を掠めた。 真っ白なベットに横になり、ぼんやりと天井を眺める。 −何があったかしらねえけど、とにかく、ここで休んで落ち着け− そう言って、佐伯琢磨は私を保健室に連れて来てくれた。 「…借りができちゃった」 誰に言うでも無く、ぽつりと呟く。 ポケットに入れていたケータイを取り出して液晶画面を見ると、六限目が終わるまで、あと20分ほど。 …授業が終わるまでには 「普通」に戻らなければ。