その時 コンコン、と渇いたノック音が病室内に響いた。 ドアを開けようと、私が動く前に、ヒナが元気よく声を上げる。 「はあーい」 ここ数日ですっかり元気を取り戻したヒナを横目で見、表情を緩めてドアを開いた。 「あら、東子ちゃん」 そこには、小さな花束とビニール袋を提げた藤森先生が立っていた。