古びた5階建ての雑居ビルの一角に、薄暗く、怪しいそこは存在した。


『占いの館 ルナ』


胡散臭い探偵事務所の隣にある、これまた胡散臭い占いの館。

暗幕のようなカーテンをくぐると、蝋燭の炎だけが揺れる店内。

紫色のテーブルクロスのかかった丸いテーブルの向こう側に、その館の主『月華(げっか)』が座っている。

落ち着いた風貌は大人の色香さえ漂うのだが、彼女はまだ16歳。

本来であれば普通に学校に通う高校生である。

しかし彼女は学校には行かず、こうして占いをしている。