「確保!」

 パイロットに叩きつける金切り声。

「了解、全速上昇!!」

 スロットレバーが引き倒され、ジェットタービンが甲高く唸りをあげる。瞬間、道路を支える橋脚が砕け散った。

 激しいショックと共に機体は突き上げられ、眼下に崩れ去る高速道路が見える。

「爆風が来るぞ! ドア閉めて」

 パイロットの声にひろみが素早くドアを閉める。

「くそう!!」

 爆風のスピードに比べてあまりにも遅い上昇速度にパイロットの罵声が飛ぶ。その刹那、機体は何かにぶつかったように弾き飛ばされた。

 炎を纏った衝撃波。

 瞬時に機体の防弾ガラスはひび割れ、激震が機内を襲う。

「うわっ!」

 壁に叩きつけられる俺とひろみ。機内は激しく揺さぶられ、機体は木の葉のように炎の濁流に飲み込まれた。

「上がれーっ!」