悪い予感は当たるものだ。

 近づくと橋の上ではまたもや凄惨な殺戮劇が繰り広げられていた。橋を封鎖しようとした自衛隊が、数に押されて防衛線を突破され、狂気の渦に巻き込まれて血しぶきを上げている。

 乱れ飛ぶ銃弾と悲鳴。それはまさに地獄絵図を思わせた。

(……どうする?)

 橋の手前百メートルほどの場所にバイクを止め、しばし呆然とその光景を眺めていた。

(どうするったって……)

 通れる訳がない。

 第一、橋のたもとまで人があふれ、これ以上前に進めなかった。

 そうしている間に遠くから発せられる耳障りな音に気がつく。それは近づいてくる車の排気音だった。その迫り方は尋常ではない。

 確かな殺意が感じられ、後ろから迫り来るライトに目を向けた。

 車は四台。いずれも派手に飾り立てたワンボックスカーだ。重低音をまくし立ててこちらへ一直線に迫ってきていた。

(あいつらだ!)

 直感的にそう思った。