「危なかった……助かったよ」
「貸し借りなしだな」
そう言って俺はニヤリと笑った。残された時間は少ないが、このまま去るのはあまりに心苦しく思える。
「三分で直してやるから手伝えよ」
俺は車載工具を取り出して修理を始めた。
「あんた手際良いなあ」
リアシャフトを事も無げにスライドさせてチェーンを掛ける俺の手を見てそう言った。
「もとバイク屋だからな。ところであんた名前は? 俺は水島真樹夫」
「俺は浅野藤吉。みんなには『あさきち』って呼ばれんよ」
「あさきち……って」
(似合ってる)
思わず笑いそうになった。
「俺は福岡まで行くんだけど、あんたは?」
「行くあてはないのよ。言うなら死に場所を探してるようなもんよ」
そう言うと顔に似合わない少ししんみりとした顔を見せた。
「貸し借りなしだな」
そう言って俺はニヤリと笑った。残された時間は少ないが、このまま去るのはあまりに心苦しく思える。
「三分で直してやるから手伝えよ」
俺は車載工具を取り出して修理を始めた。
「あんた手際良いなあ」
リアシャフトを事も無げにスライドさせてチェーンを掛ける俺の手を見てそう言った。
「もとバイク屋だからな。ところであんた名前は? 俺は水島真樹夫」
「俺は浅野藤吉。みんなには『あさきち』って呼ばれんよ」
「あさきち……って」
(似合ってる)
思わず笑いそうになった。
「俺は福岡まで行くんだけど、あんたは?」
「行くあてはないのよ。言うなら死に場所を探してるようなもんよ」
そう言うと顔に似合わない少ししんみりとした顔を見せた。



