メイドなあたしとイジワルご主人様。

その場にいたほかの人は、


「いってらっしゃい。」


って笑顔で手を振っていたけど、あたしは手を振っただけで、必死に笑顔を保っていた。


そして、行く先を見つめたまま、裕介は手を振って消えていった。

あたしは胸元にある鍵を握り締めて、その場に泣き崩れてしまった。


椿や、いろんな人が慰めてくれた。

でも、本当に笑顔にはなれていなかった。と、思う。