耳元に感じる、優しい息遣い。


もっと感じたくて、頬を摺り寄せるようにしてぎゅっと抱きついて。


慧の背中に腕を回す。

 

どのくらいそうしていたのだろう。


気付いたころには周りには誰もいなくって。


日もとっぷりと暮れていた。


「・・・・・いつまでこうしてれば良い?」


そんな囁きが聞こえて、あたしは慌てて体を離そうとする。


―――と、慧の腕がそれをさせず、再びあたしを抱きしめる腕に力を込めた。


あたしが戸惑って見上げると、いたずらっぽい笑みを浮かべた慧が。


「嘘。もう少し、こうしてたい・・・・・」


そう言って抱き寄せられて。


また、離れられなくなっちゃう・・・・・。


「・・・・・もし、不安になることがあったら・・・・・いつでも言って」


優しい声に、慧を見上げる。


「そしたらいつでも、ぎゅっとするから・・・・・」


驚きに目を瞬かせるあたしに、慧は優しいキスを落としてくれた・・・・・。