そんな願いも虚しく…


次の日の朝。



『そう言えば昨日…ベランダで誰かと話してなかった?』

俺の作った朝食をうまそうに食べながら新が言う。



『あ?お前…起きてたの?』

焼いたパンを落としそうになる。



『うーん…

まあ起きてたって言えば起きてたけど…寝てたって言えば寝てた』


『意味わかんねぇーよ』


結局どっちなんだ?

結構重要なことなんだけど…




『途中で目が覚めて~

そしたら修司がベランダにいて~

で~…なんだっけ?』


新は必死で頭をひねる。

思い出すな…思い出すなよ…新。


俺は心の中で祈る。



『あ、そうそう!

で、修司がベランダにいるな~って思ったら~


あ!そうだ!

柚木ちゃん!柚木ちゃんの顔が出て来たんだよ!


あ~スッキリ。

思い出せて良かった~!!』



新は1人で頷きまくっている。

俺はあえて何も言わない。


頼むからこれ以上何も言うなよ…?