『あ、柚木ちゃん』
昼休み。
学食へ向かう俺と新の前に柚木ちゃんが現れる。
「春谷くん?今日…手伝ってほしいこと、あるんだけど」
柚木ちゃんは俺の目をガン見
『パシリならお断りしまーす
新の方がよく働きますよ』
なんて意地悪を言う俺
この性格…マジでどうにかしたい。
「春谷くんってばいつも意地悪ばっかり。
いいよ、もう。
佐藤くんに頼むから」
柚木ちゃんはそう言って新に向き直る。
『いいですよ。
どうせ、放課後暇ですし』
新は一瞬俺に視線を向ける。
おい、新!
放課後は俺とゲーセンだろ?!
UFOキャッチャーでどっちが多く取れるか勝負するって約束じゃん。
「ありがとう、佐藤くん」
柚木ちゃんはニコッと微笑み俺たちに背中を向けた。
『あ、柚木ちゃん!』
俺は気づかないうちに柚木ちゃんを呼び止めていた。
振り向いた柚木ちゃんは不満顔。
それもそうか。
『新がやるなら…俺も…』
声を控えめに俺は言う。
「そう言ってくれると思ってた。
ありがとう、春谷くん」
柚木ちゃんは不満顔を解き、笑みを浮かべる。
なんだよ…
柚木ちゃんにはバレバレってか?
俺が最後はそう言うって、バレてたワケ?


