□ Side 新 □



あぁ…どうしよう。

勢いで出て来ちゃったけど。


俺、なんもまだ考えてない。


ってか…心の準備すらできてないのに…


あぁ…もうっ!


修司ぃ…

俺、どうすればいいんだよぉ…



「……新っ!」


突然、服の袖を掴まれ、慌てて振り返る。



「ちょっと歩くの速いよ?」


服の袖を掴んで上目遣いで俺を見つめる加奈さん。



『すすすすすすいませんっ!』


ヤ、ヤバイだろ…今の顔。

絶対、俺のこと誘おうとしてる。



なんとか平常心を保ち、ペースを抑えめに歩く。




「なんか考えてた?新?」



『あ…いや…寒いな、って』



「ホント、寒いよね~」


さりげなく、加奈さんとの距離をつめる。


もし、ポケットに手を突っ込んでいなかったら、手が触れるほどの距離感。


胸の高鳴りが尋常じゃなかった。