―――― 仕事も終わり、時刻は六時過ぎ。 俺はボストンバックを肩にさげ、家へと向かう。溶けてなくなる寸前の夕陽の熱が、じりじりと背中を焼いた。 ふと一軒の家の前で足を止める。 広い庭に咲き乱れる色鮮やかな花々に、目を奪われた。 ふわりと漂う、芳香な花の香り。 花から花へ飛びまわるミツバチ。 羽を震わせて、大空へ飛び立っていく。 それを目で追い、空を仰ぐと そこには、熱く、鋭く、胸を突き刺す黄金。 温かい滴が、頬を伝った。 ―ミツバチは、大空で結婚式を挙げます― 了