コガネ《短》



「彼の実家が養蜂をやっていてね、私も、嫁いだらそのお手伝いをしたくて…自分なりに色々と勉強していて…」


幸せそうに、顔をほころばせて笑う先生。

一瞬思考が止まった俺の頭が再び動き出した瞬間、何かがぷつりと切れ、頭が真っ白になった。

先生の言葉と、赤い頬。


すべてを、理解した。


ああ、そうなんですか。
おめでとうございます―

そう言えばよかった。
それだけでよかったのに、俺はそれさえも言えずに


そのまま、逃げるようにその場を去った。


背後から先生が俺を呼ぶ声が聞こえて、余計に胸が苦しくなった。

もう届かない。

伝えることは、できない。

してはいけない。


もう


好きでは、いられない。





…恋は


呆気なく、終わりを告げた。







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