心の、ずっと奥

悔しい気持ちから、私は唇を強く噛みしめた。


もう、これ以上…


何も聴きたくない。


いや、聴けないよ。

これ以上、太郎に責められたら私の心が粉々に砕け散ってしまうと思う。


「もう、いいでしょ?用が済んだら帰ってよ。」


早く居なくなってほしい。唇を強く噛みしめていたせいか、そう太郎に告げた時、唇が少し痛んだ。


これも強がり?


「サチ、俺は…」


「辞めて!もう、何も聴きたくない!お願いだから…私の前から居なくなってよ…」


今日、何回目だろう。


また、瞳から涙が零れ落ちてきた。


涙で少しぼやけてはいるけど、困惑気味の太郎の表情


でも、一瞬にしてその表情は寂しげな表情へと変わり、ポツリと私に呟いた。