心の、ずっと奥

ササっと、コンクリートを蹴る音がしたと思ったら、私の右腕に痛みがはしった。


自分の右腕に視線を落とすと、太郎の腕が私の腕を強く握りしめていた。


痛みで、少し顔を歪めてしまう私。


「何よ、痛い、痛いってば!離して!」


「帰るぞ。」


どんなに、抵抗しても太郎は涼しい顔をして、私の腕を離そうとしない。


そして、屋上の出入り口のドアに向かって歩きだした。


嫌、辞めて、離して、いろんな想いが私の頭の中を駆け巡っていく。