心の、ずっと奥

両膝に添えるように置いていた手に、何かがポツ、ポツ、と落ちた。


そっと、私は手に視線を落とす。


雨?


いや、それはない。綺麗な夕焼け空で、雨じゃない。


「涙が出るぐらい苦しんでたんだな。」


太郎の囁くように出た言葉で、私は気づいた。


私、泣いてる?


慌てて、制服のポケットからピンクのハンカチを取り出した。


「泣いてるわけないじゃん。泣いてるわけ…」


「もう、いいだろ。」


勢いよく、私の方を見て、悲しい表情を浮かべる太郎。