心の、ずっと奥

今、もの凄く変な気分。


夕焼け空が、私と太郎の影をくっつける。


学生服の生徒が2人、屋上のフェンスを越えて、危ない所で並んで座っている。


フェンスは、2メートルあるか、ないかぐらいの高さ。


私は、このフェンスをやっと越える事ができたっていうのに、太郎は…あっさり越えてしまった。


やっと、覚悟が決まって登れたのに…。


「サチ。お前、何悩んでんだよ…。こんな事しようと思うぐらいに悩んでんだろ?」


その低音が響く声は、どこか寂しげで、元気がない。


「フフ。悩み?別に、悩んでなんかない。何もない。太郎には、関係ないでしょ。」


嘘の言葉が、熱を失い冷たい言葉として、私の口から次々と飛び出していく。


いつもの強がる悪い癖。