『私、洗い物してくるねっ』

そう言ってキッチンに急ぎ足で向かった。

シンクに流れる水と泡を眺めるだけで、

何も考えられなかった。

ぼーっとしながらも全ての食器を洗い終わり、

手を洗って戻ろうとした時だった。


後ろから彼に抱きしめられた。

『菜月。ごめん。

もう我慢できないっ…

こっち向いてっ』

そう言われ彼と向かい合う。

間髪も入れず彼は私の唇を奪った。

頭が真っ白になる。


あまりにも長いキスに酸素を取り入れようと口を開けた。

その瞬間、彼の舌が生き物のように咥内に入る。

『……っん』

力の入らない腕で彼の肩を押す。

『……菜月…。』

しかし、それも意味なくベッドへ連れて行かれる。