「いい顔だ」 
 

先生は満足したように小さく頷いて、私の顎に軽く手を触れた。


それから右手の人差し指の腹に乗せたコンタクトをゆっくりと私の眼の中に入れる。 


「…入っ…た?」


「痛いか?」


「いや、痛くないです」


「はい次は左目」


「えぇ!いやちょっと待ってくださいよ。そう焦らず騒がずゆっくりと…」
 

「焦って騒いでるほうは君のほうだけど。右目はうまく入れられたんだから、左目もすんなりいくさ。俺を誰だと思ってる」


「え、藤崎(とうざき)先生でしょ?」


「はははは…ごもっとも」


先生は眉を下げて呆れたみたいに笑った。


「はい、もう1度こっち向いて」