「無理ですって。怖くてとてもひとりじゃ入れられませんよ。しばらくは先生が入れてくれると嬉しいなぁ、なんつて」
 

「甘ったれるな 人に頼るな 自分でできるようになれ」


背中で語る先生の口調はちょっときつめ。


ポケットに手を突っ込んで「ふー」と鼻でため息をついた先生は、私に向き直って言った。
 
 
「おまえ眼鏡のほうが合ってるんじゃないのか?」


「嫌です。ほら、私卓球部でしょ?やってると眼鏡のフレームが邪魔になって球を追いづらいんですよ」


私はちょっと俯いて言った。