ぼくは かすみの少し後ろを歩いていた ロングヘアーの後ろ姿を見つめながら 今かすみの手を握ったらふりほどかれるだろうか とか その細い肩に手をかけたら 体を寄せてくれるだろうか とか考えていた 図書室にいたときには すべて分かっていたつもりの かすみの心が こうして学校の外に出ると 分からなくなっている自分が 情けなかった ………