力の限り叫んでるだけでモテるコピーバンドのあいつ。俺はあいつが嫌いだった。コピーばっかのくせに女にモテるヤツが大っ嫌いだった。

 トリはいつもあいつのバンドで、俺とタローはいっつもその前に歌わされた。

「タロー、俺ら、どうする?」
「んあ? このままでいいんだって」
「まあな。……いっかいソロでやりてーな」

 タローはうんと言ってギターを磨く。他のメンバーは、まあ、たった一人だけど、バイトがあるらしくてどっかに行った。