「なんかさぁ」
中央階段を上りながら、雅美が言った。
今は、2組から6組まで全部回ってあたしたちのクラス7組に帰るとこ。
「あんまり卒業って実感ないよね」
その言葉にあたしは頷いた。
「明日も明後日も、ここに来て、雅美とバカ騒ぎして、幸田先生に怒られて……そんな日が続きそうな感じがする」
「不思議だね」
不思議。
寂しいような、切ないような感じはするのに。
その時、キーンコーンカーンコーンと聞き慣れたチャイムが鳴った。
「ヤバい!!
このチャイムが鳴り終わるまでに教室いないと遅刻扱いだよ!!」
「うわー!!
走って間に合う!?」
「無理!!」
断言したあたしに雅美は笑って言った。
「じゃあわざわざ走らなくていっか!!」
さっきは散々走ったのにね。

