いつもの1ページ

しかも、あたしは気使って逆さまに『嫌い』って書いたのに、こいつ、他の人が見るかも……なんて一切考えずに、漢字1文字ひらがな1文字書いてやがる。

昔、あたしが『嫌い』のあとに逆向きに突き出した、もう1つの言葉を。

ちゃんとした向きで。

本当バカ。

『俺、良いこと書いただろ?』

一番最後のページに書かれた言葉に向かって言ってやった。

「普通!!」

あたしたちのやり取りはこれが正解。

ヘラヘラ笑いが目に浮かぶ。

数年後、同窓会で会ったら、文句言ってやるんだから。



あたしはアルバムを本棚の奥にしまった。

もうこいつは厳重保管。

だって、あたしの『いつも』の日常を、みんなの『普通』な言葉で紡いだ大切な1ページが、そこにはいっぱい詰まってるから。