いつもの1ページ

「俺いつも、誰のことでもいきなり名前で呼ぶじゃん」

「うん」

「でもね、嫌な顔されたのは、志穂ちゃんが初めて」

確かに、翔くんから名前で呼ばれて嫌がる子なんていないと思う。

喜ぶ子ならたくさんいるけど。

「人気者自慢?」

あたしは冗談混じりに言ったんだけど、翔くんは珍しく真面目な顔して首を横に振った。

「なんか、高校生活で一番それが印象に残ってる」

あたしは翔くんに卒アルを返して、自分のを受け取った。

「志穂ちゃん、俺のこと嫌い?」

「さあね」

数年後の同窓会でだったら、教えてあげてもいいかな。