いつもの1ページ

「うーん」

悩みを声に出してたみたい。

「そんなに俺に書くこと悩む?」

翔くんは、あたしに嫌われてるって思ってるから。

最初は嫌いだったし、そういう態度取ったし。

「悩まない。
もう、決めた」

あたしはアルバムのある1ページに、漢字1文字とひらがな1文字を書き込んだ。



「書けたよ」

あたしは翔くんにアルバムを差し出した。

もうあと30分で閉門だからそろそろ帰らなきゃね。

だけど、翔くんは受け取ってくれない。

代わりにヘラヘラ笑った。

「もう最後だから言っとかなきゃ」

最後って言われると弱い。
きっと数年後の同窓会でしか会えないもん。

あたしは一旦手を引っ込めた。