「書けた?」
「まぁだだよ」
ホールに座ってあたしを見上げながら翔くんはヘラヘラ笑う。
「まあまあ、ここ座んなよ」
仕方ないなってまた翔くんの前に座る。
「あとは志穂ちゃんのだけ」
「じゃあさっさと書いてよ」
「だって志穂ちゃんのはいろいろ考えたいじゃん」
こいつはきっと、女子みんなにそんなこと言ってる。
「俺のも書いてよ」
翔くんのアルバムを受け取って、ページをめくる。
さすが。
ほとんど言葉で埋まってる。
「どこでも良いよ」
「写真の上でも?」
「顔にラクガキする以外なら」
そう言って、翔くんはへらっと笑った。
それなら、書く場所は1カ所だ。
あたしはページをめくって校舎の写真が載っているページを開いた。

