蓮井サンは荷物の量によって
仕事があがる時間が変わるそうだから
終わったら電話をくれるらしい。
「じゃあまた明日。おやすみ」
そう言って蓮井サンは
あたしの前髪に軽く唇を押し当てた。
カサカサの右手があたしの頬にそっと触れる。
あたしはその手に自分の手を重ねた。
蓮井サンのこの…仕事をしてますっていう手が好き。
苦労をいっぱいしてきたんだろうなっていう、このカサカサの手が好き。
蓮井サンはご両親をともに
病気で早く亡くしているから
自分は大切な人を残して早く死ぬのは嫌で
タバコもお酒も飲まないんだそうだ。
健康に気を遣ってるから
料理もこう見えて結構上手いんだぞ、
って自慢げに笑って言っていた。
蓮井サンのこと、ひとつひとつ知るたびに
もっともっと
蓮井サンのことが好きになっていく…
蓮井サンのことが愛しくてたまらない…
「蓮井サン…」
「…ん?」
「……唇に、して下さい。……キス」
蓮井サンは一瞬面食らったようにきょとんとして、すぐにやわらかく微笑んだ。
まるで小さな子供をあやすように…
「じゃあよく眠れますように」
そう言って蓮井サンはあたしに顔を近づける。
カサカサの唇がやさしくあたしの唇に重なった。

![Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.808/img/book/genre1.png)