「見〜っけた♪」
ホコリっぽい部屋の中に、呑気な声が響いた。声の方を振り向くと、緑色の着ぐるみを着た男が立っている。
太陽だ。
声を掛けられた女性は、複数のガラの悪そうな男たちに囲まれている。
彼女は、大声を張った。
「逃げて!警察に連絡をして!」
「させねぇよ。」
彼女を囲っていた1人の男が、鉄パイプを握り締めて、太陽に近づいてきた。
「俺、そこのお姉さんを返してもらいたいだけなんだけど…ダメ?」
太陽は緑色のフードを目深に被りなおすと、口元を緩(ユル)ませた。
「うっせぇ!」
男は、太陽の頭めがけて、思いっきりパイプを振り下ろした。
「いないわね…。外に出たのかしら?」
会場内では、既に2試合目も終わっていた。
「外にコンビニがあったよね。そこかな?」
和葉は汗を拭(ヌグ)いながら、窓から見えるコンビニを指差した。
「外を探そう。」
真幸は先に走りだした。三人も後に続く。
空はいつの間にか、雨雲に覆(オオ)われていた。

