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私立神戸高校では、入学式が始まっていた。一時間程前まで騒がしかった正門周辺も、今はもう静けさを取り戻している。


講堂には新入生が集められ、厳粛な雰囲気の中で式が行われていた。


「…続きまして。生徒会、挨拶。」


アナウンスに続き、舞台に上がったのは一人の美女だった。


豊かな緑の黒髪は、長く艶やかに輝いている。鼻筋の通った高い鼻に、細い首筋から流れる鎖骨のラインが見事だ。その下にある2つの大きな胸を支えているのは、引き締まった細いウエストだった。


その美貌の持ち主がマイクの前に立ち、慈愛に満ちた微笑みを湛(タタ)えた瞬間、新入生の間に騒(ザワ)めきが起こった。


美女は口の端を少し上げると、マイクを優雅な手つきで握り締めた。


「新入生の皆さん、入学おめでとうございます。」


ナイチンゲールの囀(サエズ)りのような、甘く優しい声。男子生徒は興奮の為か、鼻息が荒くなり、女子生徒はうっとりと、ため息を洩らした。


美女は満足気にその様子を確認すると、挨拶を読み始めた。