ここに来て十数年 どこに監視カメラがあるか 警備線が引かれているのか もう十分に頭に叩き込まれている それに今日は上層部のほとんどが施設をあけ 警備がいつもより手薄だった 何十年に一度のチャンス 慎重に足を進め 建物内に侵入する 少し開いたドアは、湊が先に侵入した何よりの証拠だった ドアを開けると そこには幾つもの部屋と 並べられた資料の棚 暗い建物の中 ひたひたと響く自分の足音が 更に私の心臓を高鳴らせていた