怪我は湊のおかげもあってか 順調に回復し 仕事もきちんと成し遂げた 肌にこびりついた火傷の跡は 未だに記憶の奥に残る悲惨な状況を思いだすには、十分な材料だったけど そんな時は必ず湊が何も言わず傍にいてくれて 私は初めて 自分が生きているこの状況を 幸せだと思ったんだ 同じ痛みを持ち 同じ苦しみを分かち合うことができる人 私にとって これほどまでに安心できる場所はなかった