「ほら」 そう言った湊は、私に小さな紙を渡してきた 「何これ?」 私の問いに対し、無言の湊は 何やらそわそわと中の様子を窺っている 紙にはたくさんの走り書きの文字 誰かの名前と どこかの住所…? 「それさっきの門番に聞きだしたんだ」 「これって…?」 「ここのボス。 ちょっと脅したらさ、全員面白いくらい素直に話してくれたよ」 目の前で笑う湊に 一瞬鳥肌がたつ きっと門番の人たちはひどい目にあったのだろう そういう点で湊は絶対に手を抜かない人だから