ドサッと地面に倒れた教官を視線で追い
咄嗟に私は湊の方へと駆け寄った
「湊…」
彼の息はもう既に細く
私をうつろな目で見つめている
「待っててね。
今応急処置するから。
ちょっと痛いかもしれないけど我慢して」
傷口に手を伸ばし
処置をしようとしたその時だった
強く腕を掴まれ
手を握られる
「もう…無理だよ。
そのくらい自分でも…分かる」
「湊…
そんなこと分かんないでしょ。
いいからもう喋らないで」
それでも湊は私の手を離さず
今度はさっきよりも強い口調で私を諭す
「悠里。
聞いて…ほしいことが…あるんだ」



