状況が把握しきれなかった
目の前では
腹部を抑えて倒れる湊
流れ出す血が
更に私を混乱させる
ザッザッザッ
ふいに地面を擦るような足音が聞こえた
咄嗟に振り向くと
そこには見覚えのあるシルエット
「…教官?」
「悠里。
さぁ早く…
その反逆者にとどめをさせ!」
怒りに満ち、顔を真っ赤にした教官が
私にそう怒鳴り付ける
「教官…
どうして?」
「俺が死んだと思ったか?
あの政府のやつらと一緒に…
そんなに簡単に死んでたまるか…」
憎しみに満ちた笑いを上げる彼に
言いようのない怒りがこみ上げた
理性とか
体裁とか
そんなことの前に
身体が勝手に動いてしまう
気付けば私は教官の首に短刀をあて
怒りを彼にぶちまけていた



