一歩 一歩 徐々に彼が私の方へと近づいてくる 覚悟はもうとっくに決めていた ギュッと強く短刀を握り締め 焦点を合わせる 小走りになった湊の心臓めがけて 身体全体の神経を集中させた 後1秒 私も姿勢を低くし 前かがみになった瞬間 どこからか鈍い音が聞こえた それと同時に 目の前にいた湊の身体が斜め前に倒れる