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 同じ頃。

 社内フロアの片隅に設けられた小会議室に昼食を終えた祥吾を含む数名の男性社員が集められていた。
 小会議室の外からでも、何やら厳しい調子で論じ合っているのが聞こえる。


 この春 祥吾は新規プロジェクトの立ち上げ要員として、若くして指名されていた。

 いや再来月には34歳になるのであるから、祥吾もそろそろ中堅に差し掛かるのであろうか。

 それはともかくとして、面倒見がよい祥吾は 後輩たちからも大変に慕われる存在であった事から、団結が必要なこの時期のこの選出は ごく自然な流れであった。

 数年前に新設されたばかりのIT関連事業部には、やはり若い社員が目立ち、今日も体育会系の活気が漂う。

 

 しばらくすると会議室の扉が開かれ、開放された数人の男たちが、険しい表情を浮かべながら各々散らばっていった。

 祥吾も同様に厳しい面持ちで自分のデスクに戻ると、深く腰掛け軽く眉間に皺を寄せた。