「一流商社の方って、やっぱりやることがスマートねぇ」


 麻美と母親が嬉しそうに話すのを、麻美を追いかけるようにして食卓に入ってきた麻美の父親と、今夜も父親が呼び寄せていた藤堂が、何やら複雑な表情を浮かべながら見ていた。



 麻美の父親は藤堂を誘いながら食卓に着くと、小声で、

「藤堂君は同じ年代の男としてどう思うかね?」

と藤堂にさりげなく聞いた。


 そして、小島という男とのやり取りにふわふわと浮かれている麻美を見て、明確に嫌悪の表情を浮かべている藤堂が、

「メールでのやりとりなんて、僕は好きではないですね。
 小島さんという方は、なぜ直接電話をかけてよこさないのでしょうか?」

と言うのを聞くと、

「確かにそうだ。藤堂君の言うとおりだ。
 俺もそんな男は好かんな」

と、麻美の父親は今度こそ麻美たちに聞こえるような声で言った。