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 その週の金曜日。 
 真理江が鈴木からアメリカ行きの打診を受けてから、気づけば一週間が終わろうとしていた。

 しかし真理江は、それについて、未だ何の答えも持たずにいた。


「秋からの人事であるし、返事は来月になっても構わないから」
という言葉を鈴木から貰っていたし、中途半端な答えを出すよりは、きちんと考え抜いて答えを出そうと思ったからだ。 


 それはやはり、祥吾が自分の元から去ったことが大きかった。


 真理江は、真理江自身がこれから先の人生をどう進むべきなのか、そろそろ本格的に決めていかねばならない時期に来ているのだと、嫌がおうにも思い知らされた。