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 午後九時過ぎ。
 辺りがすっかり暗くなった頃、真理江は1日ぶりに自宅マンションに戻った。

 この日の会議は思ったよりも長引き、何だかんだと片付けをしているうちに、気付けばこのような時間になっていた。
 とはいえ、冴子の助けがなかったなら、もっと遅くなっていたかもしれない。


 真っ暗な部屋の明かりを灯すと、部屋の中には土曜日の朝に、この部屋の中で一番日当たりのよい場所に干した洗濯物が、何やらのんびりとぶら下がっていた。

 真理江はすっかり乾いた洗濯物を取り寄せ、皺にならないようにそっとソファーに置くと、
「ごめん、明日絶対たたむから」
と言って軽く手を合わせた。

 考えてみれば、昨夜は酔いつぶれて動けなくなり、今日は今日であの地獄のように長い会議があったのだ。
 当然のように真理江の身体はくたくたであった。