***** 


 4連休明けの勤務を終えた藤堂は、夕飯をとるために入った定食屋を後にすると、久しぶりに寮の部屋で一人のんびりとした夜を過ごしていた。


 暦どおりの連休とはいえ、こうして毎年与えられるまとまった休暇は、懐かしい人々との再会の口実になっている。


 そうした静岡の友人たちと騒がしく過ごした休日は、何故だかもうずっと前のことのようで、思わず藤堂の口からは「四連休なんて、本当にあっという間だなぁ」と独り言が口をついて出た。


 このような静かな部屋に身を置くことに、既に飽き飽きとしている藤堂。

 そんな時は決まっていつも賑やかしい吉田の家族を思い出した。

 そして連休中に挨拶を交わした友人の小さな子どもたちの姿も、藤堂の脳裏に生き生きとよみがえった。