「大学時代からずっと付き合っていた二人だから、急に決まったわけでもないんでしょうけど。
 でもやっぱり羨ましいわよねぇ」

 お喋りを続けながらも着替えを終えた麻美と麻美の同僚は、少ない荷物を取り出すと、静かにロッカーの扉を閉めた。

 そして、

「そうなんだぁ。
 大学時代から、とか、そういうのに本当に憧れるわ。
 今更もう、遅いけどねぇ」

と笑顔で嘆く同僚と顔を見合わせると、何も言わず、ただお互いを慰めるように、静かに頷きあった。



 二人は今だ居残っている看護師たちに挨拶し、表に出た。

 そしてクリニックの裏に止めてあるそれぞれの車に乗り込むと、

「じゃあ、また明日ね!」

「うん、お疲れ様!」

二人は日の沈みかけたその町を、静かに後にしたのだった。







~『ベイビーたちの変化』 麻美 ~