ぼんやりとした頭。 しかしそれを使わずとも、真理江の身体は、毎朝繰り返し行われる動作を履行していく。 トーストに珈琲という簡単な朝食をとり、昨夜就寝前に用意した服に着替えて、化粧を施し――… そして起き出して1時間もすれば、すっかり出勤の準備は調ってしまった。 「行ってきます」 誰もいない部屋に向けて、何か儀式めいたようにきっちり述べると、ヒールの渇いた音を反響させながら、真理江はマンションを後にした。