「――…よね? 吉田さんもそう思わない?」 「――吉田さん? どうしたの?」 同僚が麻美の顔を覗き込んでいるのに気付くと、麻美はハッと我に返った。 見れば同僚は着替えを半分も済ませている。 「やだわ、私ったら! 今ね、メールを開いたら大学の友だちが結婚するって書いてあって、ちょっとビックリしちゃってたの」 麻美はそう言って同僚に笑顔を見せると、携帯電話を鞄にしまい、少し慌てたように着替えを始めた。 本当は、麻美は理恵子からのメールを開いてさえいないかった。