それを聞いた冴子は、驚いたように真理江の顔を見た。

 冴子の目に写る真理江は、ここ最近見たこともない程に、穏やかな、そして優しい表情をしていた。


 冴子はそれに心底安心し、不思議と自らも穏やかになるのを感じた。

 そしてたまらず、

「きっと、それが一番いいのかもしれないね。
 ――じゃあ、昨晩ちょっと飲み過ぎちゃたのも、あながち悪いことばかりじゃなかったんだ。
 佐竹さんには悪いけど!」

と言って、顔をくしゃくしゃにして笑った。




「冴子は私がきっとに幸せにするから」

 真理江が突然、冴子に力強く宣言をする。


 意表を突かれた冴子であったが、真理江が珍しく冗談を言ったのだとすれば、これほど可笑しいことはない。



「それは助かるわ!」

 冴子はまた後輩の女性事務員たちが振り返る程の声で、思わず笑ってしまうのだった。







~『ベイビーたちの変化』 冴子 ~