珍しく悲観的な冴子とは反対に、

「私はもう、恋とか当分いいわ」

真理江は渇いた笑顔で、それに応えた。


 そして、

「すごく不思議なんだけど、今朝目が覚めてから、この数日間の事、ううん、祥吾と付き合っていた事自体が、凄く遠く昔のことのような気がするの。
 二人にあれだけ迷惑掛けておきながら、随分と勝手な事を言ってるのは分かってるんだけど。
 何故なのかしらね?
 とにかく、冴子のお陰なのよね、本当に感謝しているんだ。
 昨日は付き合ってくれて本当にありがとう」

と、冴子の気付くことのなかった心の内をそっと打ち明けた。



「冴子。
 私、祥吾の事はもう忘れるから――」