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 思いがけず9連休を貰い、久しぶりの出社を果たした真理江は、午前中の仕事がまだ片付かぬ内にもフロアを抜け出し、慌ただしく海外事業部に佐竹を訪ねていた。


 その顔には数日前のような妙な青白さは消え失せていたのであるが、どこか険しい表情が見てとれる。

 それもそのはずで、真理江が佐竹とちゃんと顔を会わせるのは、あの飲み会以来、二回目であった。


 その名を呼び、自分に気付いた佐竹と対面した真理江は、

「こんにちは」

と言いながら近付いたものの、近ごろなかったような緊張感を抱き、その場に臨んだ。