タクシーの後部座席の扉が開くや、 「何? 病人さんかい?」 と、佐竹に抱えられている真理江に気付いたドライバーが、怪訝そうに冴子に尋ねた。 冴子は、 「いえ、眠ってしまってるだけですから、ご心配なく。 何かあったら弁償しますし。 でも、何もない自信ありますから、とりあえず○○町までお願いします」 と言ってわざとらしい程に笑うと、 「そう? 頭打たないようにね」 と意外なほどにあっさりとドライバーから乗車の許可は下りた。