死ぬつもりであった。 それはもはや頭で考えて導きだした事ではない。 ただ、生きる事よりもそうする事の方が自然であるような気がしただけだ。 綾乃は最期の場所をここと決めていた。 だからここに来た。 けれど天国行きの馬車が行ってしまったような景色を見た今、何故だか死ねない気がした。 それに――。 ベランダに出た綾乃は、路上からこの部屋を見つめる女性がいることに気付いてしまった。